近頃では、「NFT」というキーワードをそこかしこで耳にします。
しかし「訊いたことはあるけどなんとなくでしかわからない」という方もいらっしゃると思います。
そこで、今回はNFTに関してわかりやすくまとめてみました!
NFTとは?
NTFとは、「Non-Fungible Token」の略で、非代替性トークンのことです。と言われてもわけがわかりませんよね。非代替性ってなんだよ、トークンってなんだよ、となると思います。初めて聞いたとき、筆者もそう思いました。
簡潔に言うと、「誰が持っているかが刻まれたデジタル資産」のことです(正確にはNFTデータは有体物ではないので法的には所有権という概念が規定されていませんが、ここではわかりやすくこう記載します)。これまでですと、オリジナルとコピーの区別をつけることは非常に難しいことでした。例えばイラストや楽曲を想像してもらえれば分かると思います。どれがオリジナルでどれがコピーなのかわかりませんよね? これを、NFTでしたらオリジナルの証明をすることができるのです。
どう実現されるの?
近年よく話題になります、「ブロックチェーン」という技術を利用して実現されようとしています。「ブロックチェーン」自体の詳しい解説は別記事に譲りますが、この技術によって「デジタル資産の取引履歴などが改竄困難な形で記録できるようになった」と理解していただければと思います。取引履歴が記録されているので、今まで誰の手に渡って来て、今誰が持っているのかということが明確になっています。そこに刻まれている所持者と違う人が使っていたなら、それはコピー品、ということになります。
NFTが生まれた背景
もともと今までが不合理的だった、というところがあります。クリエイターさんたちが一生懸命作ってくれたイラストや楽曲などが、誰でも気軽にコピーしてオリジナルと同じように使え、何だったら無断で再配布もできるというのは奇妙な状態でしょう。そういった状態に違和感を抱いていたところ、「ブロックチェーン」という技術が登場し、渡りに船だった、という感じです。
NFTの例
有名どころですと、CryptoPunks(デジタルアート)があります。24✕24ピクセルのデジタルキャラクター画像で、それぞれデザインの異なるものが10,000個発行されています。転売などもされており、元々無料で配布されていたものがNFTの盛り上がりで値上がりしていき、最高額の物では11億ドルの値がついたものすらあります。すごいですね……。
また、アート以外にもゲーム上のアバター(約1900万円)や、ジャック・ドーシーさん(Twitterの創設者)の初ツイート(約3億1960万円)もNFTとして取引され、かなりの高値がついています。初ツイート買って何に使うんでしょう……眺めたり自慢したりするのかな?
現在では上記のようにNFT自体の将来性ということで、投資対象として取引きされているのが主ですが、普及すればイラストや楽曲など馴染み深いものもNFTとして取引されるようになるかもしれません。
日常生活はどう変わるの?
この章は多分に憶測が含まれますので、参考程度に読み飛ばしていただいて構いません。
まず、「データのNFTでの配布が増えていく」ことになります。NFTはクリエイターにとって非常にメリットの大きい仕組みです。オリジナルのラベルをつけられるという点ももちろん、転売のフィーもクリエイターに入る仕組みにもなっています。ですので多くのクリエイターがNFTで作品を発表していくでしょう。「流行りの音楽がNFTでしか聞けない」、「きれいなイラストがNFTでしか入手できない」のような状態になるので、消費者としてもNFTを利用しなければならなくなるでしょう。
一方でこれはクリエイター目線では非常に喜ばしい変化ですね。作品がオリジナルとして販売できますし、転売されればフィーも入ってきます。将来的にはNFTでの販売が主流になるかと思いますので、今のうちに慣れておくといいと思います!
アンテナの高い投資家さんたちには今更言うまでもないことではありますが、デジタル資産に所有権が得られるということになり、投資対象になりました。チャンスがより一層広がっていきますね。
NFTの課題
というわけで、NFTの夢を膨らませていきましたが、順風満帆とも言い切れません。いくつかの課題が残っています。
法律的な問題
NFTをどう扱うかによって、法的な解釈が揺れることがあります。
まず所有権について。これまでは理解のしやすさを優先して、「NFTデータなら誰が持ってているのかが明確になる」というように記述してきましたが、正確に言えば、現状の法律ではデータなどの無形物に「所有権」は認められていません。そうなると、NFTデータを売買した場合、何が取り引きされることになるのでしょうか? 所有権という概念は存在しない、ましてや著作権なはずもない。それならNFTデータの所持者であるということは法的にはどういうことなんだ? というわけです。すると誰かと誰かがNFTデータの取引について揉めたときに、現行の法律だとお手上げ状態になるわけです。
また、特にゲームアイテムに当てはまりますが、賭博にも関わってきます。スマホゲームが普及した現代では、アイテムのガチャなどはよくありますよね。しかしこれをNFTアイテムで行ったらどうなるでしょう。賭博罪に当たると解釈することもできます。資産となるNFTアイテムを得るためにガチャを行う……。これは賭博では? というわけです。
ゲームアイテムについていえば、景品表示法もあるでしょう。「今登録すれば、SSRもらえる!」みたいなゲーム広告目にしますよね。しかしこのSSRがNFTだった場合、資産なわけです。ここで、景品表示法においては、「お客さんを呼ぶ手段としてなにか物品やお金を配るなら、上限額設けるよ」という決まりがあるのです。それが適用されれば、何かキャンペーンをやるたびに、ゲーム会社は「うーん、このアイテムは今の資産価値にするといくらだから~」みたいな七面倒くさい検討をしなければならないわけです。果たして景品類と解釈されるのかされないのか、というのはゲーム会社には悩ましい問題ですね。
などなど、法的にNFTがどういう位置づけになるのかはまだ定かではありません。
結局海賊版は出る
これまで、NFTの登場によりオリジナルを証明できるようになった、というように記述しました。「オリジナルを所有することに価値のあるブランド品など」は問題ありません。一方で「べつにオリジナルじゃなくてもいいと考える人が少なくないもの」に関しては、海賊版は出回るでしょう。
例えば、きれいなイラストやかわいいイラスト。欲しいですよね、SNSのアイコンとかにしたいです。買ってくれる人も多いはず。しかしこれをNFTで発行したところで、結局スクショとか撮られて勝手に使われるわけです。他には楽曲。オリジナルを所有してなくても聴ければそれでいい、と考える人も多いはずです。この人たちは買わなくてもどこかに勝手にアップロードされた音源を聞いて満足できてしまいます。
再生するクライアントがNFTの所有者認証をきちんとしてくれさえすればある程度は防げるかもしれませんが、それでも誰かが録音なりスクショなりしてアップロードしてしまうと思います。
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